世界が引き裂かれる時 (2022):映画短評
世界が引き裂かれる時 (2022)ウクライナ侵攻はあの時すでに始まっていた
ロシアがクリミア半島を併合し、親ロシア派武装勢力がマレーシア航空機を撃墜した2014年のウクライナ。紛争の地ドネツク州でいったい何が起きていたのか?出産を間近に控えた平凡な夫婦の目を通して描いた戦争ドラマである。親ロシア派と反ロシア派の対立が激化する中、両者の間を上手く立ち回ろうとする夫、親ロシア派への憎悪を強める妻の弟、逆に親ロシア派へ取り入ろうとする夫の友人。男たちが右往左往する中、妻だけは生まれてくる赤ん坊のことを考え、我が子が育つべき故郷の大地と家を守らんとする。対立や紛争の愚かさと非人間性を浮き彫りにし、生命の尊さを謳いあげた作品。衝撃のクライマックスはその象徴と言えよう。
この短評にはネタバレを含んでいます