リバイバル69 ~伝説のロックフェス~ (2022):映画短評
リバイバル69 ~伝説のロックフェス~ (2022)ライター3人の平均評価: 4
先人へのオマージュに満ちたロックンロール映画。
当時22才のプロデューサーがカナダ初のポップフェスを開くまでのドタバタ劇。大ドキュメンタリストD.A.ペネベイカーが撮りながら未完に終わったフッテージを大幅に使われる。一向に売れないチケットを考慮して、結果的にレノン&ヨーコのプラスティック・オノ・バンド(ドタキャンしようとした彼らを英国から呼び寄せ、カナダのバイカー軍団に先導させて会場に入らせるところなんて最高!)が初ライブを披露したり、当時大人気のドアーズをメインに呼ぶのも面白いが、このフェス自体がロックンロールの発展を示す…具体的に言えばチャック・ベリーからボ・ディドリー、当時新進気鋭のアリス・クーパーまでを網羅していて音楽好きは大満足。
ビートルズを葬った伝説のフェスの全貌が明らかに!
ジョン・レノンがプラスティック・オノ・バンドを率いて、ビートルズ以外で初めてステージに立ったフェス。それだけでも1969年トロントでのイベントは伝説的だが、話はそこで終わらない。
23歳と22歳の若者ふたりが企画したという事実に驚かされ、ロックの創始者たちを讃える趣旨に、なるほどと思わされる。ジョンの映像はすでに発表済みだが、チャック・ベリーをはじめとするレジェンドたちの映像は貴重だ。
ジョンのステージで金切り声を上げるヨーコに観客が引いていたというエピソードも聞けるが、ビートルズを期待した観客には無理もない。ともかく、ユースカルチャーの成熟と時代の熱を感じ取れる音楽ファン必見作。
ノリと偶然の連鎖で世紀の伝説が生まれる
ボ・ディドリーの演奏から始まるD.A.ペネベイカーの『スウィート・トロント』(71年)で、一時間弱の中篇にまとめられた「トロント・ロックンロール・リバイバル1969」。その熱気を改めて伝える貴重なドキュメントだ。メインは裏話と証言者のインタビュー。「チケットが売れない」ところからR&Rレジェンドと新進が交差する、ある種ウッドストックより音楽的な奇跡と充実が実現する事になった顛末である。
プラスティック・オノ・バンドのお披露目となったフェスでもあるが、『ウェルカム トゥ ダリ』にも登場するアリス・クーパーが、ジーン・ヴィンセントのバックを務め、50sと70sを繋ぐ辺りなど歴史のスリルを感じる。