JOURNEY (2023):映画短評
JOURNEY (2023)ハイブロウな知性と美学が光る出色の日本発SF
新鋭・霧生笙吾監督の瞠目すべき初長編。SKIP国際Dシネマ映画祭で高く評価され劇場公開に至った一本だが、元々は美大の卒業制作。つまり完全な自主製作ながら、本格SFの世界観が高度にデザインされているのだ。『惑星ソラリス』『オブリビオン』等を連想させる、意識と肉体を巡る夫婦の物語。喪失感を主軸としたラヴストーリーとも取れるが、全体のベースとなるのは「意識化」という独自のタームを通した仏教的な思想体系だ。
『THX-1138』『ストーカー』等々のバトンを受け継いだ未来的ランドスケープが素晴らしい。慎重かつ秀逸な風景の選び方に加え、グラフィカルな処理も見事。描きたいものを明確な意思で打ち出している。
この短評にはネタバレを含んでいます