ロスト・フライト (2022):映画短評
ロスト・フライト (2022)ライター3人の平均評価: 3.3
ポップコーン映画としてはかなりおすすめ
B級アクションスリラーだが、予想した以上に楽しんだ。ジェラルド・バトラーが近年得意とするこの手の映画の中ではかなり良く出来ている。つべこべ言わずにすぐにフライトのトラブルに持っていき、その後も緊張感と恐怖を保つ。銃撃戦やファイトシーンも、とくに新しいことはやっていないものの、迫力あり。設定に都合の良さがあったり、リアリティがあるとは言えないせりふのやりとりがあったりするが、そこはご愛嬌。キャラクターの深みや層も、ここでは気にならない。バトラーが変更に大反対したという「Plane」という単純なタイトルは、この映画を象徴しているといえる。ポップコーン映画としてはかなりおすすめ。
安心感に包まれたジェラルド・バトラー映画
潜水艦映画と間違えそうな日本版ポスターヴィジュアルに、原題「PLANE」。スルーしそうな雰囲気だが、これが離島に不時着した旅客機を待ち受けていたのは、反政府ゲリラというアクション映画好きなら前のめりな設定。しかも、主人公が過去を持つ犯罪者とタッグを組んで共通の敵に挑むという展開だけに、『アサルト要塞警察』のジャン=フランソワ・リシェ監督作らしさ全開! 人質になった乗客たちのドラマをほとんど描かないなど、ご都合主義が目立つものの、“分かっている”アクション・シーンの撮り方など、リーアム・ニーソンよりはハズレが少ないジェラルド・バトラー映画らしい安心感に包まれた一作だ。
飛行機パニックからその先へ。極限状況にも意外なほど説得力が?
アクションやパニック映画の極端なシチュエーションに、どこまで説得力を与えられるか? その点で本作は高得点。冒頭から飛行機周りの映像、乗員たちの雰囲気や会話はリアルに徹し、来るべき恐怖の時間へじわじわ緊張感を高めることに成功。機内の衝撃シーンは目の前で起こっている錯覚をおぼえるほど演出が的確だ。航空会社の対応にも“やりすぎ”感がなく好印象。
この流れで乗員・乗客の気持ちで大事件を体感できれば、中盤からのさらなる試練、サバイバルに心から没入。
機長らしい判断力に、軽妙さと頼もしさが加味され、血気盛んながら絶対的に強くない。そんな主人公にジェラルド・バトラーほど相応しいスターはいないと、またも認識。