朝がくるとむなしくなる (2022):映画短評
朝がくるとむなしくなる (2022)何気ない日常を丁寧に映し出す
復帰後、なぜか強い女性ばかり演じてきた唐田えりかに疑問を持つなか、ここにきて石橋夕帆監督の当て書きだけに、彼女のつかみどころのなさも含め、かなりのハマり役。石橋監督の前作『左様なら』でヒロインだった芋生悠との居酒屋などでの掛け合いも、実際の友だちならではの空気感を放っており、完全復活といえる。大きく括れば、食傷気味な“生き辛さ映画”“シスターフッド映画”であり、ちょっとだけ背中を押してくれる後味も、決して新しくはない。だが、“あるある”も笑いに変えつつ、何気ない日常を丁寧に映し出す石橋監督の優しさが作品全体を包み込んでおり、劇中に2度出てくる「大丈夫」というワードが刺さる人も少なくないだろう。
この短評にはネタバレを含んでいます