サウンド・オブ・サイレンス (2023):映画短評
サウンド・オブ・サイレンス (2023)ライター2人の平均評価: 2.5
久々のイタリアン・ホラー登場は嬉しいのだが…
『デス・アプリ 死へのカウントダウン』を手掛けたイタリアのホラー映画監督ユニット「T3」の最新作。父親の入院で故郷へ戻った女性歌手が、実家の古いラジオから解き放たれた邪悪な幽霊と対峙する。この幽霊が騒音を嫌うので大きな音を立てちゃいけない!暗闇のどこから現れるか分からない!ということで、恐らく『クワイエット・プレイス』や『ドント・ブリーズ』あたりを意識しているのだろう。古典的なゴシック路線を狙った映像の雰囲気は悪くないのだが、しかし肝心の恐怖演出は中途半端だし、DV問題を取り上げた筋書きもありきたり。イタリアン・ホラーの復活を望むファンとして、応援したいのは山々だが、これはちょっと厳しい。
音と、かつて存在した記憶が、混じり合う
音、という、物体ではない、どこかとらえどころのないものをモチーフに恐怖を描くという試み。オープニングタイトルで、被写体が誰なのか分からない古いモノクロ写真が多数映し出され、”音"と"かつて存在した何かの記憶"という、どちらも手では掴めない2者が融合し、それが本編に繋がる。音自体が怪異なのではなく、音が鳴っている時だけ怪現象が出現するという設定もユニーク。
監督・脚本は『デス・アプリ 死へのカウントダウン』でも組んだ、ホラー映画の名産地イタリア出身の3人組。故郷イタリアでの撮影で、NYからイタリアの実家に帰省したヒロインが出会う恐怖を描き出す。