ラストマイル (2024):映画短評
ラストマイル (2024)ライター2人の平均評価: 4
「止めない」ことは本当に正しいのか
巨大物流拠点から配送される爆弾をめぐるミステリーとサスペンスでありながら、現在の日本社会を支える物流システムとそこで働く人たちに関する問題を提起する物語でもある。そのバランスが絶妙で、さすが野木亜紀子脚本だと唸らされる。『MIU404』と『アンナチュラル』とのシェアード感(?)も程良い。予告編で物流拠点の責任者である満島ひかりが「止めませんよ、絶対」と言っているが、「止めない」ことが本当に正しいのか、そこで働いている人たちに目は向いているのか、我々顧客の要望と欲望はどうあればいいのかなどを考えさせられる。ある意味、逆「日曜劇場」という感じ。意外なほどおじさんたちが活躍する映画でもある。
仕掛たっぷり、でもそれだけで終わらない
先行する2本のドラマと世界観を共有するシェアードユニバース映画。アメコミ映画などのおかげもあって浸透しつつスタイルかと思いますが、邦画ではまだまだレアです。2つのドラマの面々が登場した時には独特の高揚感がありました。しかもそれが顔出しに終わってないので良かったです。と書くと仕掛け勝負な一本のようなイメージが抱かれるかと思いますが、映画は大型物流倉庫を舞台にした映画ならではのスケール感を持った社会派エンタメミステリーに仕上がっていて楽しめる一本でした。満島ひかりと岡田将生は3番目の座長として重責を見事に全うしました。第4の矢はあるのか?