胸騒ぎ (2022):映画短評
胸騒ぎ (2022)ライター2人の平均評価: 3
新たなる欧州系胸クソ映画
オランダ人とデンマーク人の国民性の違いから巻き起こる心理サスペンスかと思いきや、じつはそうでもない……。そんな観客をも煙に巻く、アリ・ラスターとは異なる『ザ・バニシング-消失-』『ファニーゲーム』にも通じる欧州系胸クソ映画である。ちょっとした親切心や判断ミスで、とんでもない方向にいき、「カイジ」でないのに、忍び寄る恐怖にざわざわ。ドリフでもないのに、思わず「後ろ!」と叫んでしまいそうな王道ホラー演出にどきどき。他人に弱さを見せがちな夫、第六感が働く妻といった男女の違いも描写。ジェームズ・マカヴォイが“招待する側”を演じるハリウッドのリメイクにも期待してしまう。
ブラムハウスのリメイクも納得のリアルな心理ホラー
ブラムハウスが、ジェームズ・マカヴォイ出演、『フレンチ・ラン』のジェームズ・ワトキンス監督でリメイク映画『Speak No Evil』を製作した話題作。
旅先で出会って親しくなった一家は、本当に彼ら自身が語る通りの人々なのか。そんなありそうな設定で、誰もが思い当たる、よくある心理の動きが、いくつも重ねられていく。ふとした折に感じた違和感の理由が分からず、そのために自分の直感を否定したくなる気持ち。自分が無意識のうちに抱いている願望を叶えるために、目の前にある不都合を見なかったことにしたくなる気持ち。さらに「あの時、ああしていれば」が何度もある。そのすべてがリアルで恐怖が後を引く。