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チャイコフスキーの妻 (2022):映画短評

チャイコフスキーの妻 (2022)

2024年9月6日公開 143分

チャイコフスキーの妻
(C) HYPE FILM - KINOPRIME - LOGICAL PICTURES - CHARADES PRODUCTIONS - BORD CADRE FILMS - ARTE FRANCE CINEMA
平沢 薫

歴史映画の写実と、主人公の幻想が溶け合う

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 柔らかく単純だったヒロインの気持ちが、次第に頑なさを増していき、複雑で歪んだものになっていく。それを描く映像は、衣装や室内装飾などの"外観"は写実的な歴史映画の形式に徹しつつ、"演出"がリアリズムとは無縁。室内は暗く深い緑色なのに、扉を開けると通りは炎が燃えているような橙色だったりする。少しずつヒロインだけに見える光景が増えていく。隣り合わせの写実と幻想、その二者の調合具合が興味深い。

 監督は『LETO ーレトー』のキリル・セレブレニコフ。チャイコフスキーの妻が下敷きだが伝記映画ではなく、ヒロインの人物像は、悪妻という従来のイメージとは違う。ラスト近く、彼女が一人で踊る光景が美しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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