山逢いのホテルで (2023):映画短評
山逢いのホテルで (2023)ちょっとビターで切なくて優しい大人向けのラブストーリー
長閑なスイスの田舎町。夫と別れて婦人服の仕立て屋をしながら、ひとりで障碍者の息子を世話する中年女性クロディーヌは、週に1度だけ休みを取って山の上のホテルへ行き、宿泊客の男性と後腐れのないセックスを楽しむ。ままならぬ日常を忘れる束の間の現実逃避…のはずだったが、ある男性との出会いから自らの人生を見つめ直す。いやあ、実に味わい深い。ちょっとビターで切なくて、それでいて口当たりの優しい大人向けの上質なラブストーリー。ミュリエル・ダックやヴィクター・ラズロなど懐メロヒットの選曲もセンス抜群だ。それにしても、父親が障碍や病気を持った子供を母親に押しつけて逃げるというのは世界共通の現象なんですかね。
この短評にはネタバレを含んでいます