トレンケ・ラウケン (2022):映画短評
トレンケ・ラウケン (2022)ボルヘス継代培養、本場ものの凄み!
『ツイン・ピークス』×アントニオーニ『情事』か?という起点から、脱線と逸脱を重ねて拡大していく破格に珍奇な長尺。二部構成の全12章から成る4時間強は、組み立てながら不安になる変なパズルのよう。図書館の無数の書物の中から誰かの手紙が出てくるボルヘス直系のイメージ/ギミック――“テキストの中からまったく別のテキストが出てくる”入れ子構造を特殊に極めた趣だ。
868分の『La flor』を生んだアルゼンチンの映画集団「エル・パンペロ・シネ」より、ラウラ・シタレラ(81年生)が監督を務めた大傑作。語りの大胆な実験がインディシネマの可能性を切り拓く。今回は年末4日間の限定上映。さらなる公開延長を望む!
この短評にはネタバレを含んでいます