エマニュエル (2024):映画短評
エマニュエル (2024)原作のフェミニスト的視点に立ち戻った再映画化
あの『エマニエル夫人』のリメイク…というより、これはエマニュエル・アルサンの原作小説の再映画化と呼ぶべきだろう。’74年版のエマニエルは時間を持て余した裕福な人妻だったが、こちらのエマニュエルは自立したキャリア女性。高級ホテルのサービスを隅々まで厳しくチェックする品質調査官として、理不尽なルールにも黙って従って仕事をしてきた彼女が、出張先の香港のホテルで知り合った人々との危険なセックスゲームに身を投じ、初めてオーガズムを得ることで自由な生き方に目覚める。いわば、社会や組織の歯車として取り込まれた女性が、快楽を通して自分を取り戻す物語。原作のフェミニスト的な視点に立ち戻った作品と言えよう。
この短評にはネタバレを含んでいます