俳優陣が明かすペドロ・アルモドバル監督の新作とは?
スペインの鬼才ペドロ・アルモドバルが手掛けた新作『アイム・ソー・エキサイテッド!』について、俳優カルロス・アレセス、ブランカ・スアレス、ミゲル・アンヘル・シルベストレが語った。
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同作は、スペインからメキシコに向かう飛行機の機体にトラブルが発生し、3人のオネエ系客室乗務員が、混乱する乗客を落ち着かせるサービスを考え出す中、それぞれ問題を抱えていた乗客は人生の悩みを徐々に吐露し始めていくというコメディー作品。カルロスはオネエ系の客室乗務員、ミゲルは結婚したばかりの新郎、ブランカは機内に乗り合わせた俳優リカルドの元彼女ルディ役を演じている。
ペドロ監督の演出についてミゲルは「ペドロは日頃からセットでは面白いが、特に機嫌が悪いときの方が面白いんだ」と暴露すると、カルロスは「彼は僕らに気楽な気持ちで演じることを勧めるが、実際に彼が僕ら俳優に望む演技は限定されていて、ある意味完璧主義者だ」と評した。
オネエ系の客室乗務員3人が、ポインター・シスターズの曲「アイム・ソー・エキサイテッド」でダンスを踊るシーンについて、カルロスは「このシーンは、とても滑稽でおかしく見えるけど、実際にはかなり練習したんだ。普段の僕は、できる限り運動をしないようにしている。僕の体を見てもらえばわかるけど……(笑)。だから、このようなしっかりした振り付けのあるダンスシーンはかなりの練習量を要した。だが、僕らがほぼ完璧にダンスを仕上げたときに、ペドロが僕らのダンスを初めて見て『(プロのように)完璧すぎる! もっとプロに見えないようなダンスにしてほしい』と言ってきたんだ。それからは、少しさぼりながら練習したよ(笑)」と明かしたが、映画内ではキレの良いダンスを披露している。
ブランカは、自身が演じたルディというキャラクターについて「誰もがこのルディというキャラクターの一部を持ち合わせていると思うの。それは、誰もが恋に破れて、それをすぐに癒やすことができなくて、これ以上そんな状態が続くのは良くないと思って、どのように新たな道を歩むか考える、というような体験をしているから」と過去の恋愛体験を通して演じていたそうだ。
映画は、緊急時の機内で、個性的な人間模様が滑稽に描かれ、さらにさりげなく社会の不平等さを辛辣に含んだ、ペドロ監督の手腕の光った作品になっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)