イザベル・ユペール10年ぶり来日!是枝監督は「チェーホフのよう」
およそ10年ぶりに来日したフランスの名女優イザベル・ユペールが24日、有楽町朝日ホールで行われた「フランス映画祭2016」オープニングセレモニーに来場、日本を代表する是枝裕和監督、深田晃司監督、そして浅野忠信らと交流を果たした。
ユニフランス主催でフランスの最新映画を中心に紹介する「フランス映画祭」。24回目を迎える今年は、4日間にわたって13本(クラシック1本含む)の映画が上映される。今年の団長はジャン=リュック・ゴダール、ミヒャエル・ハネケら数々の名匠の作品に出演してきた大女優イザベル・ユペール。「コンバンワ、ワタシトテモシアワセデス」と日本語であいさつしたイザベルは、「今日は日本語で頑張りました。次回はもっと上手になっているはずですよ」とちゃめっ気たっぷりに語りだす。
さらに「わたしは日本が大好きで、身近に感じています」と付け加えたイザベルは、「溝口健二、黒澤明、大島渚、小津安二郎の映画を観て育ちました。また、ブノワ・ジャコーが撮った三島由紀夫原作の映画(『肉体の学校』)に出演したこともあります。また、だいぶ前ですが、ジョセフ・ロージーの『鱒』(日本劇場未公開)という作品は日本で撮影しており、東京、京都、そして富士山のふもとにも行ったことがあります」と日本への思いを切々と明かした。
そして、『海よりもまだ深く』が今年のカンヌ映画祭で上映された是枝監督も、花束ゲストとして登場。「実はちょっとゆかりがありまして。一昨年だったと思いますが、モロッコ・マラケシュの映画祭で、大々的な日本映画の特集があって、その時は僕が団長で、迎えてくれたのがユペールさんでした。今回は立場を変えて、日本にやって来てくれるということで、僕が駆けつけないで誰が駆けつけるんだと思った」と裏話を披露する。それを受けたイザベルは「わたしは彼のことを尊敬していますし、家族のことを感受性豊かに描いている彼の映画はユニバーサルな価値を持っています。まるで(ロシアを代表する劇作家)チェーホフのような人だと思う」と称賛した。
さらに同じく今年のカンヌ映画祭にて、『淵に立つ』である視点部門審査員賞に輝いた深田監督と浅野もセレモニーに駆け付け、「僕はイザベルさんの大ファンで。10年前に来日した際にお会いしたことがありましたが、また会えるということでうれしくて。深田さんに、僕とイザベルさんが出演する映画を作ってほしいとアピールするために今日は来ました」とラブコールを送る浅野だった。(取材・文:壬生智裕)
「フランス映画祭2016」は6月27日まで有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇で開催中