2007年の夏休み映画は大作からマニア向けな作品まで、面白映画が前白押し! シネマトゥデイでは、私的映画宣言<セカンドシーズン>のライターに今年の夏休み映画のおすすめ作品と、“夏映画ベスト3”を自身の夏の思い出とともに語ってもらいました。
私的映画宣言 セカンドシーズンは今回をもって終了です! 次回リニューアルして登場しますのでお楽しみに!
夏休みということで、情操教育に役立つ3本をオススメ。『おやすみ、クマちゃん 』は愛らしいファンタジーの世界にどっぷり浸らせてくれるのかと思いきや「本物の熊は木登りが得意だけど、僕はぬいぐるみだから苦手なの」と絶妙なタイミングで現実に引き戻してくれる、大人な言動がステキです。『レミーのおいしいレストラン 』は、ミシェランの星取に振り回される仏レストラン業界の裏側を皮肉たっぷりに描いているのが笑えます。そして『河童のクゥと夏休み 』は、河童版『E.T.』の感動作ですが、クゥを守っていた家族までもがマスコミに注目されると浮き足立つ姿が妙に人間くさくて、逆に好感を持てます。裏ベスト3は『トランスフォーマー 』、タランティーノ&ロドリゲスの『デス・プルーフ
in グラインドハウス 』『プラネット・テラー in グラインドハウス 』『ダイ・ハード4.0 』。世知辛い世の中を嘆く子どもたちに「大人になると、大金を使ってこんな好き勝手ができるんだ」と夢と希望を抱かせるでしょう。でも『グラインドハウス』は2作品ともR-15指定。大人になれば、魅惑の世界が待ってます。
『レミーのおいしいレストラン 』
(C) WALT DISNEY PICTURES / PIXAR ANIMATION STUDIOS.
ALL RIGHTS RESERVED.
1位
『インディ・ジョーンズ』シリーズ
冒険心を刺激してくれるアドベンチャー映画の秀作だが、我が故郷・水戸では2本立てが当たり前で、シリーズ1と2を併映なんていうぜいたくなことも。かつ、夏の暑い日に映画館で約4時間も涼め、夏休みの楽しい想い出。
2位
『セーラー服と機関銃』
公開は81年の年末だが、撮影は高校生だった薬師丸ひろ子の夏休みを利用して行われ、彼女の夏用セーラー服姿がまぶしい。しかしひと夏の体験モノはよくあれど、ヤクザの組長になるとは! 異色作だが青春映画の傑作。
3位
『イル・ポスティーノ』
筆者がいつかバカンスに訪れたいと思っているのが、同作品の舞台・イタリアのプロチーダ島。年を重ねると人で賑わうリゾート地より、静かな場所に惹かれるのよねン。もちろん、人生の悲喜こもごもを味わい深く描く映画も秀逸。
今年の夏休み映画は男子的に楽しい作品が多くてうれしいかぎり。『トランスフォーマー 』は多くの男の子のDNAに組み込まれているロボット熱に火をつけること間違いなしの上に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズをほうふつさせるユーモラスなノリがイイ。また、『オーシャンズ13 』はジュリア・ロバーツやキャサリン・ゼタ・ジョーンズといったレギュラー女優がいなくなったぶん色恋から離れ、野郎同士で何かをたくらむときのワクワクするようなスリルが伝わってくる。日本映画ではスポ根の基本『キャプテン 』が熱くなれてオススメ。そして夏の終わりは『デス・プルーフinグラインドハウス 』のタランティーノのオタク節で決まりだ!
男に生まれてよかったと、つくづく思う2007年の夏であります。これらとは別に、『プロヴァンスの贈りもの 』『ブラック・スネーク・モーン 』が想像以上にデキがよくて驚いた。前者はプロヴァンスの避暑地気分、後者は米国南部独特の湿気で、夏を体感できるはず。
『キャプテン 』
(C) 2007ちばあきお/キャプテン製作委員会
1位
『ウィッカーマン 』
夏といえばホラー! ということで、リメイク版の公開も迫る本作は、映画ファンなら一度は観ておきたいカルトな逸品。男根信仰的な邪教を崇拝する島で起きた、少女失踪事件の真実は? クリストファー・リーの怪演だけで必見!
2位
『ヒッチャー』
これも怖いぞ。凶悪ヒッチハイカーに執拗に追いかけられる青年の恐怖体験。ルトガー・ハウアーふんする、どこまでもしつこいヒッチハイカーは、夢に出てきそうなほど不気味。これも今秋リメイク版が日本公開される予定。
3位
『ハロウィン』
こちらは全米で今夏リメイク版が公開される、ホラーの鬼才ジョン・カーペンターの代表作。舞台がハロウィンなので時期外れだが、ストーカーのようにつきまとい、どこで凶行に及ぶか予想させない殺人鬼像に、ヒンヤリ気分を堪能できるはず。
『スパイダーマン3』やら『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』やら2時間以上もあって、内容みっしりというサービスなのか拷問なのか分からない大作映画が続くと、『オーシャンズ13 』みたいな、ゆる~い映画が妙に愛おしくなる。「そんなに本気でもないけどちゃんと仕事はしてます」くらいの意気込み。映画館で涼みたい程度の人にはこれくらいがちょうどいいのかも。ストーリーも真剣に追わなくて大丈夫だし。むしろ追えば頭に来るだろうし。癒やし目的なら『天然コケッコー 』や『遠くの空に消えた 』のような自然の中で過ごす夏もオススメ。前者の初恋、後者のUFOという夏休みらしいテーマにもキュン。ただ、キュンという年齢でもないわたしには『リトル・チルドレン 』が切実。映画のような出会いを求めて、今年は腹の引き締め効果のある水着で市民プールにでも繰り出そうかな。まあ、本音を言えば、『酔いどれ詩人になるまえに 』の飲んだくれや『トランシルヴァニア 』の旅人みたいに一生、夏休み!? って感じの人たちを見習って、だっらだら過ごすのが理想なんですけど。
『オーシャンズ13 』
(C) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc - U.S.,
Canada, Bahamas & Bermuda. (C) 2007 Village
Roadshow Films (BVI) Limited - All Other Territories.
『リトル・チルドレン 』
(C) DNA Films Ltd and Channel Four Television Corporation
2006
1位
『ステップ・イントゥ・リキッド 』
サーファー映画数あれど、この映画が最高。ドキュメンタリーだから、出演者は本物。サーフィン中心に暮らしているふざけた人々だ。そのサーファーらしいゆるい空気。観ているだけでこっちまでお気楽極楽な気分に。
2位
『菊次郎の夏』
南の島シーンの多い北野作品でも、本作が一番。すいか割り、バーベキュー、ヒッチハイク、夏祭り……夏らしい遊びを目いっぱい楽しみながら、一緒に遊んでるのが他人のおじさんという切ないおかしさ。久石譲の音楽もいい。
3位
『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』
遠くに三線が聞こえる開放的な家屋で、寅さんとリリーさんが捕れたての魚をつつきながら、のんびり……これぞ理想の夕食。女振りがいいリリーさんは寅史上最高のマドンナだった。ただ、寅さんには定住が無理だったようで残念。
ジトっとした梅雨が明けて解放的な気分になる夏は、たいがいの映画を受け入れられる大きな心を持てる季節。洋・邦問わず、どんな作品でもそれなりに楽しめるはずだが、あえて夏休み映画の観賞順にコダワってみたい。まずは『オーシャンズ13 』。シリーズモノ特有の安全パイで無難なカタルシスを得て準備体操した後は、“ガッキー”こと新垣結衣主演『恋するマドリ 』でミーハー気分を充足させるのも手。この夏大本命の超大作『トランスフォーマー 』で視覚を刺激されまくったら、落ち着いた和風の『怪談 』でヒンヤリ納涼気分も悪くない。そして夏の終わりを『TAXi(4) 』で締めくくる。実はこれがイチバンのオススメで、爆裂署長ジベールを高田純次が吹き替えているのがその理由。先日取材した際、笑い死にするかと思ったほどの破壊力ゆえ、同作を観賞する日が来るのを励みに酷暑を乗り切れそう。また、夏が終わっても、これまた安全パイの続編モノ『ファンタスティック・フォー:銀河の危機 』が公開。映画を観る時間を確保できる夏だからこそ、映画館のハシゴにチャレンジするのも一興だ。
『TAXi(4) 』
(C) 2007 EUROPACORP - ARP - APIPOULA? PROD - TF1
FILMS PRODUCTION
1位
『バックドラフト』
業火のように燃えさかる炎の映像に夏バテなんか吹っ飛び確実! 暑い夏に(某CMのような)雪降る冬の映像を観たところで焼け石に水だ。ならば、熱い映像で身を焦がしたほうが自然で健康的で夏らしくてイイぞ!
2位
『クロコダイル・ダンディー』
ポール・ホーガン演じるカルチャーギャップ主人公のワイルドな軽装がイイ! 素肌にワニ皮(?)ジャケは、よくよく考えたらかなり暑そうな感じだが、日ごろの肉体管理能力が試される軽装の夏こそ、自戒を込めて観賞したい。
3位
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』
単に“公開当時が夏だった”というだけの思い出のサマームービーだが、シャツからにじむハリソン・フォードの汗が妙にセクシーに感じたのは自分だけ? 潔癖症のご時世だが、男臭い男の魅力がはじけるのも夏ならでは!
夏の映画、後半戦の目玉は『トランスフォーマー 』に尽きる。冒頭、灼熱の砂漠にある米軍基地が金属生命体に情け容赦なく襲撃するシーンから、緊迫感ありすぎ。変身シーンは今までに観たことのない映像体験! これは映画館で観るべき作だ。ただ、よくも悪くもマイケル・
ベイ監督の作。アクションはさく裂してるけど、中身は完全、お子様向き。そういう意味で『河童のクゥと夏休み 』も親子で見る教育的映画っぽいが、背景の自然描写に癒し効果たっぷり。観たら、慌てて日本国内の旅に行きたくなる。『プロヴァンスの贈りもの 』も同様。ラッセル・クロウとリドリー・スコットでこんなヤワなタイトル、と思うが、日ごろ、働き過ぎなあなた、夏休みに何を観ようと迷ったら、これだ! 大人向きといえば、『オーシャンズ13 』。ほとんど女っ気ないだけに、オヤジたちの心意気が前面に出る。個人的に北欧のまったり感がたまらなかったバンパイア映画、『フロストバイト 』と、アル中作家チャールズ・ブコウスキーをマット・ディロンが演じた『酔いどれ詩人になるまえに 』もオススメっす。
『トランスフォーマー 』
(C) 2006 PARAMOUNT PICTURES AND DREAMWORKS LLC.
ALL RIGHTS RESERVED.
1位
『ウォルター少年と、夏の休日』
声変わりしたハーレイ・ジョエル・オスメント少年が、マイケル・ケインとロバート・デュヴァルが演じる偏屈なじいさん兄弟とひと夏を過ごす物語。基本的に元気な爺さんものに弱く、自分もこんな夏を過ごしてみたかったと思わされたもので……。
2位
『東海道四谷怪談』
母が時代劇好きで、子どものころから付き合いで観させられたが、夏になると時代劇でもお岩さんにお菊さん、化け猫ものといった怪談映画にラインナップが替わった。怖かったけど、いつの間にか、夏が来~れば、お岩さん……てな感じに刷り込まれてた
3位
『最愛の夏』
台湾映画。目の不自由な父親と知的障害者を抱えた少女のひと夏の出会いと別れを描いた物語。原題は『黒暗之光DARKNESS
& LIGHT』だが、少女が経験する出来事を思うと、まさにこの邦題がふさわしい。台湾のお盆の迎え方もチラリと描かれてます。
イメージとしての夏休み映画といえば、何たってスピルバーグ。なのに『トランスフォーマー 』は未見。劇場で楽しみたいと思います。ほかにイベント的に盛り上がれそうなのは『オーシャンズ13 』? 前作よりは何10倍もよかったと思うが、このシリーズには正直食傷気味。14もあるのかなぁ。シリーズものは何だかもう飽き飽きの今年。もっと意外性を!!! というわけで、夏の意外性ナンバー1映画は『厨房で逢いましょう 』。子どものころから大きな腹に憧れを抱き続け、理想の体型となったおデブのシェフの恋は、まったりと変態趣味なのも楽しいが、実に大胆な行動に出る終盤が愉快。殺りく三昧を期待してみた『デス・プルーフ
in グラインドハウス 』は、後半の展開が意外や意外。そしてラストは気分爽快(そうかい)! 一方、例によって目立ちたがり度満点のマイケル・ムーアの新作『シッコ 』は直球勝負。なんだかんだ言っても観るべき映画とは思う。しかしこうしてみると、夏といえばこれ!と言い切れる作品にあまり出会えなくて残念。
『シッコ 』
(C) DNA Films Ltd and Channel Four Television Corporation
2006
1位
『ジュラシック・パーク』
これぞ正しすぎるサマームービー!? 夏はことさらにインドア派、でも気分だけはアウトドアを楽しみたい、という私にとっては夏映画の決定版。冒頭から青い空に明るい緑が夏って感じの『ジュラシック・パークIII』も好き。
2位
『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』
ハリソン・フォードの大大大ファンだった大昔。ジョーンズ博士のあまりのかっこよさに、考古学者になりたいと真剣に考えた忘れたい過去も(笑)。そんな個人的な思い出話はともかく、夏はみんなで楽しく見られる映画がいいなー。
3位
『JAWS/ジョーズ』
極め付けにベタな3本目。別に夏でなくとも定期的に見たくなるが、人食いザメの恐怖はやっぱり夏向きと思われる。サメなんか出なくとも夏の海には近寄らないが、冷房のきいた部屋で「サメ怖いよねー」とか言いながら観たい。
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