「ウォーキング・デッド」キャロルの魅力~悩みながら前進する姿がカッコイイ!
ウォーキング・デッドの魅力
「ウォーキング・デッド」シーズン9の放送開始の前に、主な登場人物たちの魅力をもう一度、振り返っておこう。第7回目は頼れる戦士キャロル(メリッサ・マクブライド)。ただ強くなっただけじゃない!(平沢薫)
※ご注意※ なおこのコンテンツは「ウォーキング・デッド」シーズン8までをがっつり観た人向けですので、未見の場合は衝撃のネタバレが含まれることがあります! ご注意ください。
ウォーキング・デッドの魅力 連載第7回 キャロル・ペルティエ
作品中でもっとも激変するのがキャロル
「ウォーキング・デッド」の中でもっとも大きく変化するのは、キャロルだろう。なにしろ、夫の家庭内暴力に怯えていた主婦が、銃の名手で、強い意志を持つしたたかな戦略家になるのだから。そんなに若くもなく、極端な美人でもないキャロルのこの変貌ぶりは、それだけで痛快だ。
が、それでめでたしめでたしにならないところが、「ウォーキング・デッド」の醍醐味。彼女は、この変化のせいで一度は集団から追放される。その後、また集団に戻るが、今度は自分自身の判断で集団から離れて一人で生きる道を選ぶ。だが、仲間たちの危機を知ると、彼らの元に戻る。キャロルは強くなったために、そんな起伏のある道のりを歩まなくてはならなくなるのだ。しかし、だからこそキャロルは魅力的。ただ強いだけでなく、間違いもするが、そのたびにまた立ち上がって前に進む。そしてそのたびに、さらに魅力的になる。
強くなったせいで、やりすぎてしまう
彼女の道は平坦ではない。まず夫を失い、次に幼い娘ソフィアを失い、そのたびに精神的に強くなっていく。そして銃を学び、医術を学び、生き延びる力を身に付けていく。そして、シーズン4で元刑務所内で暮らす頃には、幼い子供たちにナイフの使い方、敵の倒し方を教えるようになっている。
しかし、ここで最初の間違いを犯す。刑務所内で謎の病気が蔓延した際、キャロルは重症患者たちを殺してしまうのだ。キャロルは、重症患者が死ぬとウォーカーになって住民を襲うので、それを防ぐためにやったのだが、まだ死んでいない患者を殺すのは殺人だ。リックは、キャロルがそれを正しい行為だと考えている以上、また同じようなことをするだろうと考えて、彼女を集団から追放する。
衝撃的な出来事がキャロルの転機に
そして、その後、同じシーズン4でキャロルにもうひとつの強烈な出来事が起きる。彼女は森の中でタイリースと赤ん坊のジュディス、刑務所にいた幼い姉妹に遭遇し、行動を共にするが、その姉妹の姉は、ウォーカーに対する恐怖から逃れるためにウォーカーをただの“別の状態”だと考えていて、ウォーカーにするために妹をナイフで殺す。キャロルが彼女に教えられた通りのやり方で。それを見たキャロルはタイリースに「あの子は人とは暮らせない」と言って、その子を殺すのだ。
ここでキャロルは、子供たちにナイフの使い方と、使う時はためらわずに刺すことのみ教えて、生き物を殺すということの重大さを教えていなかったことに気付く。そして、自分自身が人を殺すということに鈍感になっていたことに気付くのだ。この場面は、緑の森の中、愛らしい幼い姉妹という情景のせいもあり、作中でももっとも強烈なシーンのひとつだろう。
そして、一人で生きることを選ぶが…
キャロルの成長は続き、次のシーズン5では、キャロルは策略家の一面も見せる。新たな共同体アレクサンドリアで暮らすことになったとき、その集団を信用せず、自分の能力を隠して普通の料理好きの主婦を装うのだ。この変身ぶりも観ていて楽しい。
もうひとつ、キャロルが大きく変わるのは、シーズン6で、自分の意思で一人で暮らすことを決意したとき。キャロルは共同体の中で交際する相手ができたが、生き延びるために別の集団の人々を多数殺す出来事があり、その後、共同体を出て行く。そして、彼女を探しに来たモーガンに「人々が大事だから共同体に戻れない。守りたい人を守るためには、誰かを殺さなくてはならない。人を殺せないなら、彼らといることはできない」と語るのだ。
そして一人暮らしを続けるが、共同体が敵と戦うことになった時には、彼らに協力する。“王国”のリーダー、エゼキエルが共同体の人々のほとんど全員を失った際には、彼の気持ちを気遣う優しさも見せる。
こうして、キャロルは戦闘能力面だけではなく、精神的に大きな変化を遂げていった。彼女は、シーズン8の最後にはエゼキエルと一緒に歩いていたが、これからはどう行動するのか。シーズン9以降も彼女から目が離せない。
原作コミックでのキャロル・ペルティエ
キャロルのキャラは、大部分がTV版のオリジナル。原作との共通点は、夫の家庭内暴力の被害者だったことと、娘ソフィアがいることだけ。原作のキャロルは誰かに愛されていないと不安になる性格で、精神的に危うくなり、3巻目でウォーカーに噛まれて絶命し、娘ソフィアが残される。TV版のソフィアが死亡し、キャロルが生き延びるのとは逆だ。
【この人にも注目 ジェイディス】
廃物処理場で暮らすグループの冷酷なリーダー。クールさでは、キャロルに負けていない。元は廃物でオブジェを作るアーティスト。リック側とニーガン側の戦いでは、リックと取引し、大量の銃と交換に協力することを誓うが、土壇場で寝返り「彼らの方の条件が良かったから」と言い放つ。その後、ニーガン側に仲間全員を殺されて唯一の生き残りに。シーズン8の最後でモーガンに説得されて処理場から外に出た。そしてシーズン9予告編には、彼女がリックたちの集団で暮している姿が。また何かやりそうな?
原作でのジェイディス
原作には登場しない。彼女だけでなく彼女が率いる廃物処理場のグループは出てこない。
次回はリック・グリムス! お楽しみに!
【ウォーキング・デッドキャラの魅力解剖連載予定】
vol.0 「ウォーキング・デッド」シーズン9を前に魅力を再確認!
vol.2 ダリル・ディクソンの魅力~無口な一匹狼なのに優しい
vol.3 マギー・リーの魅力~愛することで強くなっていく愛の人
vol.6 ユージーンの魅力~困ったちゃんなのになぜか憎めない?
vol.7 キャロルの魅力~悩みながら前進する姿がカッコイイ!
vol.8 リック・グリムス