是枝監督『万引き家族』に圧倒された!ケイト・ブランシェット審査員長が明かすパルムドールの理由
第71回カンヌ国際映画祭
現地時間19日、第71回カンヌ国際映画祭で授賞式後に審査員会見が行われ、審査員長を務めたケイト・ブランシェットが、是枝裕和監督作『万引き家族』に最高賞パルムドールを授与した理由を説明した。
『万引き家族』は、さまざまな家族の形を描き続けてきた是枝監督が、この10年間考え続けてきたことを全部込めたと語る渾身の一作。犯罪でしかつながれなかったある家族の姿から“本当の絆”とは何かを問う人間ドラマで、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林らが出演している。日本映画のパルムドール受賞は、1997年の今村昌平監督作『うなぎ』以来、実に21年ぶりの快挙となる。
ケイトはパルムドールの基準について「並外れた演技に演出、そして撮影といった映画の全ての要素が一つになっていなくてはいけない」と切り出すと、優れた作品ばかりのコンペ作品21作から1作を選ぶのはとても難しい作業だったとコメント。それでも最後には『万引き家族』に惹かれたといい、「わたしたちは皆、どれだけ俳優たちの演技と監督のビジョンが『万引き家族』においてかみ合っているかということに、完全に圧倒されたんだと思います。並外れた映画です」と是枝監督たちの手腕を称賛した。
審査員の一人である『ブレードランナー 2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督も「エレガントで深い脚本で、わたしたちは皆、強く心を動かされました」とたたえた。
下馬評が高かっただけに受賞の瞬間は各国の記者たちも拍手喝采で、受賞者会見を終えた是枝監督のもとにはサインを求める人々が殺到した。トロフィーを手にした是枝監督は「(重量があって)重いです。これを頂くことは監督としても重い出来事で、この先どういうものを作っていくか、これをもらった監督として恥ずかしくないものを作らなければいけない、という覚悟をしています」と語り、「これで映画の企画が通りやすくなるので(笑)、これからどういうふうに自分が撮りたいものを実現していくか、この賞はその大きなエネルギーになると思います」とさらなる飛躍を誓っていた。(編集部・市川遥)