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皮膚を売った男 (2020):映画短評

皮膚を売った男 (2020)

2021年11月12日公開 104分

皮膚を売った男
(C) 2020 - TANIT FILMS - CINETELEFILMS - TWENTY TWENTY VISION - KWASSA FILMS - LAIKA FILM & TELEVISION - METAFORA PRODUCTIONS - FILM I VAST - ISTIQLAL FILMS - A.R.T - VOO & BE TV

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

山縣みどり

物事には裏がある? 何事も見た目どおりとは限らず。

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

世界中に存在する難民が直面する不平等や現代アート界への風刺と愛を巧みに融合させた人間ドラマだった。愛に浮かれて人生を棒に振りかけた挙句、愛を貫くために前代未聞の決意をする青年サムの旅路はさまざまな問題を提起する。背中にタトゥーを入れたことでアート作品に変化したサムがシリア難民では考えられない豪華なホテル暮らしを始め、お肌もケアされ、他人の妻となった恋人とも再会。しかし彼が手に入れたのは、本当の自由なのか? アートならば人間も売買可能という仕組みに驚愕。鏡と白壁のギャラリーが映る冒頭の映像で物事の二面性や認識のズレを観客に感じさせるのをはじめ、計算された映像も素晴らしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

人間美術品というシュールな設定ながら、基本はヒューマンな感動

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

背中一面に掘られたタトゥーで、人間それ自体が美術品になる。そんな基本設定がセンセーショナルだが、主人公の波乱の運命が、その設定のさらに上を行く驚きと衝撃を帯びており、観ている間、激しく心が揺さぶられまくる一本。

人間が美術展に展示されるビジュアルがシュールなうえに、難民=人間は国境を越えられないのに、美術品であれば移動可能という「抜け道」、そしてタトゥーを見せるために背中がどういう状態であればいいのか……など、各エピソードが独創的だが、通底するのが、愛する人との関係なので感動は普遍的だ。いろいろあって、まとまるかと思わせつつ、その先に用意されたヒネリも効果的で、しばし忘れがたい後味が訪れる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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