ゴーストブック おばけずかん (2022):映画短評
ゴーストブック おばけずかん (2022)ライター2人の平均評価: 3.5
“今”に立脚した良質のジュヴナイル
『ジュヴナイル』を見たときの、あの高揚感。現代を生きる子どもたちをファンタジーの世界に置いてジュヴナイルを紡ぐ、山崎貴監督の才腕を久しぶりに堪能した。
VFX描写の面白さはもちろん、子どもたちの気取らないたたずまいもいい。大人が頭で考えた言葉ではなく、“今”の子どもの言葉やイントネーションが脈づき、オバケ奇譚の中にもしっかりリアリティが息づく。
当然、子役たちはいずれも魅力にあふれ、またそれぞれの個性も生きている。『妖怪大戦争』での子役としての主演から15年を経て、神木隆之介がオバケ側の人間にふんしているのは、なんだか感慨深い。
夏休み映画らしいジュブナイル
山崎貴監督がここまでジュブナイル路線に舵を切ったのは、それこそ監督デビュー作の『ジュブナイル』以来ではないでしょうか?
実に夏休み映画らしい映画で、自分の中の子供の心が呼び戻されます。
メインの4人の子供たちも個性が立っていますし、過剰にお芝居臭くもない等身大の描かれ方で良かったです。
登場するおばけの数々も愛嬌のある面々で楽しめました、ボイスキャストの腕もありますね。星野源の主題歌は思わずサビを口ずさみたくなります。そして何より、臨時教員としてやってくる新垣結衣。彼女のコメディエンヌとしての才能を再認識させてくれます。いい意味で大人になってないキャラクターで魅力的でした。