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グッバイ・クルエル・ワールド (2022):映画短評

グッバイ・クルエル・ワールド (2022)

2022年9月9日公開 127分

グッバイ・クルエル・ワールド
(C) 2022『グッバイ・クルエル・ワールド』製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

相馬 学

怖いとか、よくわからないんで……

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 5人がヤクザの大金を奪うストーリーといい、鶴見辰吾の憎々しげなヤクザ役といい、石井隆監督の快作『GONIN』を連想。そして本作もまた、驚くべき快作だ。

 奪う者は居場所を広げ、奪われる者は居場所を失う。油断も隙もない21世紀。必死のキャラたちの姿に、『GONIN』の90年代には開いてなかった格差の、“クルエル”な今が見えてくる。

 西島秀俊ら中年俳優も味があるが、“怖い”という感情がわからない20代を体現した宮沢氷魚の空虚な存在感に魅せられる。これは石井作品の情念描写の現代的翻案か。若さの暴発、山梨という舞台は『死んでもいい』をも連想させる。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ひたすら90年代の香り

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

冒頭『テルマ&ルイーズ』でおなじみのフォード・サンダーバードのカーステから流れるのは、『ジャッキー・ブラウン』で「110番街交差点」が効果的に使われたボビー・ウーマックの「What Is This」。しかも、理由あって、ボニー&クライドと化す若い男女はどこか『パルプ・フィクション』ノリと、作り手の狙いがまるわかり。『タロウのバカ』にも通じる半グレ描写など、大森立嗣監督らしさも悪くないが、堅気になりきれない西島秀俊と悪徳刑事の大森南朋だけで十分成り立つなか、とにかく散漫な印象が強い。ある意味ファンタジーな話だけに、奥野瑛太のリアルで鬼気迫る芝居が逆に浮いてしまっているのも悔やまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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