雨の中の慾情 (2024):映画短評
雨の中の慾情 (2024)プリズムの光に刺激され、2回観たらさらに深みにハマりそう…
つげ義春の原作は、あくまで入り口に過ぎない。冒頭パートで原作を鮮やかに映像化しつつ、その後は、つげを思わせる主人公の運命に迷宮的に耽溺させる作り。あちこちで疑問符が湧き上がり、ある時点でそこにひとつの回答が示され、映画的歓喜へとつながっていく。過剰な説明が常識となった映画の世界で、この装いは崇高な光を放ち、眩さに魂が吸い取られる感覚すら…。
過去作とまったく別ベクトルを目指す片山監督の野心。
漫画を描く欲求と性への欲望を容赦なく突き詰め、その先に見えてくる「人間」。
台湾ロケによる不可思議な郷愁への誘(いざな)い。
そして成田凌。その肉体が提示する儚さ、危うさが異様なレベルで役とシンクロする。
この短評にはネタバレを含んでいます