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ノーヴィス (2021):映画短評

ノーヴィス (2021)

2024年11月1日公開 97分

ノーヴィス
(C) The Novice, LLC 2021

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

相馬 学

がんばりが、美徳となりえない領域に踏み込む

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 監督が近い作品として挙げている『セッション』や『ブラック・スワン』。前者は壮絶な特訓、後者は壮絶な執心だが、緊張を感じさせるのは後者だろう。

 前半の試験のシーンで、繰り返し問題を解くヒロインの少々病的な完璧主義的性格を見せ、それをボートの特訓につなげる妙。承認欲求なのかエゴなのか、その正体はわからないが、わからないからこそのスリルが宿る。“闘志と狂気のスパイラル”という監督の説明も頷けた。

 I・ファーマンのキャスティングも絶妙というほかなく、無表情な『エスター』顔はもちろん、偏執の体現も強烈で引き込まれた。水面を行くボートの俯瞰描写による絵画的ビジュアルも〇。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

エキセントリック!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

女子ボート部と言えば『がんばっていきまっしょい』だが、こちらは恐ろしくダークでフリーキーな世界が展開する。これが初監督となる新鋭ローレン・ハダウェイ(89年生)が音響デザインで参加した『セッション』、さらに『ブラック・スワン』との類似が指摘されているが、本作が扱うのはコーチのパワハラではない。主人公が自ら狂気の淵に突き進んでいくのだ。

おのれに強烈な負担を掛け、陶酔的に心身の破壊へと突き進む学生アスリート。決して勝利へのこだわりでもなく、自傷衝動にも似た奇矯で陰鬱な情熱への中毒性が伝わる。監督いわく「非論理的な執着」であり、クィアあるいはノンバイナリーな性愛の形がそこに絡む。格別の怪傑作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

典型的なスポーツものとは大きく違う

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

典型的なスポ根ものとはほど遠い、心理面に焦点を当てるダークな作品。学生時代、ボート部に所属したローレン・ハダウェイ監督自身の経験に緩くもとづいているとあり、主人公アレックスのキャラクターにしろ、女性のチームメイトたちやコーチとの関係にしろ、リアリティに満ちている。成功に執着するがあまり自分で自分を苦しめ続けるアレックスを見るのは、はらはらするし、胸が痛む。今作で監督デビューしたハダウェイが音響エディターを務めた「セッション」にもやや通じるところが。この役のために特訓を受け、スタントをすべてこなしたというイザベル・ファーマンは、微妙な感情の表現でもすばらしいことをやってみせた。

この短評にはネタバレを含んでいます
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