ブルー・リベンジ (2013):映画短評
ブルー・リベンジ (2013)ライター3人の平均評価: 3.3
今後さらに飛翔する匂いがプンプン!
世界の片隅で“ホーム・アローン”となっちまった男の悲喜劇。だから友人として『ホーム・アローン』シリーズのガキ大将、バズ兄ちゃんのデヴィン・ラトレイが出てくるわけだな……ってチト強引か? 男はあれよあれよと復讐という名の“因果鉄道”に乗ってしまうのだが、それにしても銃器オタク役のラトレイ、敵対するホワイトトラッシュな一家の面々など、登場するのは特殊漫画家・根本敬先生が好んで描くところの「イイ顔」した人たちばかり。で、主人公だけがヤバくなく、坊ちゃん顔。よい組み合わせだ! ジャンル映画をよく知ってるからこそ、その道の裏をかくのが巧い。監督・脚本・撮影ジェレミー・ソルニエの名は覚えておいて損なし。
スコセッシやJ・コーエンらと同校のバリバリ優秀な後輩
これはよく出来てるなあ。『わらの犬』と比較する声もあるように「気弱な男のハードコアな復讐譚」という主軸が共通。一族VS一族の報復合戦は現代版「ハットフィールド&マッコイ」(『ロリ・マドンナ戦争』)といったところ。
その道行きを無言に近い寡黙さで捉える。即物的なアクション描写と、青を基調にしたスタイリッシュな色彩設計は、ホームレスが主人公なのにJ=P・メルヴィル的なノワール美学に貫かれてる!
NYU芸術学部出身のジェレミー・ソルニエ監督はまさしく正統の映画教養に溢れた若手。これほど贅肉を削ぎ落とした秀作で注目されたからには、ハリウッドメジャーでも硬派なまま出世して欲しいと願わずにいられない。
噂通りの拾いモノ!
ザック・ガリフィアナキスのようなムサ男から神経質なヤサ男に変貌する主演男優に、明らかにコーエン兄弟に憧れている監督と、カンヌの監督週間やサンダンスで話題になった事実が物語るように、青田買い感満載のサスペンス・スリラー。ほとんどセリフがなく、映像のトリックもある冒頭から引き込まれるが、主人公の復讐劇はすぐに終了。だが、俄然面白くなるのはそこからで、相手側の報復が待ち受けている。主人公が銃を手にしたことのない一般人なので、観客に感情移入させるためのリアルでオフビートな演出が巧く、家族VS家族のドラマと化す展開もなかなか。さらに、クールでシャープな映像ながら熱量を感じさせてくれる。