猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

« Prev 全776件中116~120件を表示しています。 Next »
  • 枯れ葉
    タイムレスでユーモラス。カウリスマキらしさに溢れる
    ★★★★

    2017年に引退を決めたカウリスマキが、また戻ってきてくれた。そしてその作品は彼らしさたっぷり。ラジオのニュースから舞台は現代だとわかるものの、それ以外は少し前の時代のような雰囲気で、タイムレス。労働者3部作に4作目として新たに加わったこの映画には、多くを持たなくてもしっかり毎日を生きている人たちへの優しいまなざしが感じられる。主人公のふたりはほとんど笑わないのに、せりふや「間」でユーモアを入れるのも、いつものことながらさすが。上映時間が長いエピック映画が増える中、ミニマリストでシンプル、作り手のしっかりした視点があって心をつかむこの映画に、なんだかほっとさせられる。

  • ウォンカとチョコレート工場のはじまり
    優しさとユーモアにあふれた娯楽ミュージカル
    ★★★★

    「パディントン」のポール・キングらしく、優しさとユーモアにあふれた、ピュアな娯楽映画。暗いニュースが多い中、最高のエスケープを与えてくれる。ティモシー・シャラメが魅力的なのはもちろん、脇を固める役者もコメディの才能あふれる人たちばかりで、終始、たっぷり笑わせてもらった。大がかりなダンスシーンは、黄金時代のハリウッドを思わせる華やかさ。パク・チャヌク作品や「ラストナイト・イン・ソーホー」を手がけた撮影監督チョン・ジョンフンは、ウォンカが作るチョコレートがいかに特別で美味しいのかを、ビジュアルで見事に伝えていく。心に残るほどの名曲はないものの、音楽も楽しい。

  • ナポレオン
    駆け足の歴史レッスン
    ★★★★★

    リドリー・スコットらしく、バトルシーンは迫力満点。だが、全体的に歴史のレッスンのような感じで、駆け足感があり、独自の視点が感じられない。それに、86歳のスコットにとっては普通なのかもしれないが、本当は英語を喋らなかった人たちが(アメリカ人、イギリス人にとって都合が良いからと)英語で話す映画を作ることには限界が来ている。リスペクトの問題はもちろんのこと、そのせいでただちに信憑性が薄れるし、コルシカの出身のナポレオンはフランスにおいてアウトサイダーだったという大事なニュアンスが失われてしまった。スコットは4時間のディレクターズ・カットを作るらしいが、問題の根本的な解決にはならないだろう。

  • エクソシスト 信じる者
    オリジナルの偉大さをあらためて思い出させる
    ★★★★★

    ジェイソン・ブラムとデビッド・ゴードン・グリーンは「ハロウィン」の続編を成功させたが、「エクソシスト」は敷居が高すぎる。これは触れるべきではなかった。なにせホラーのジャンルで史上初めてオスカーに候補入りし、脚色賞を受賞した傑作なのだ。今見直しても、ドラマの部分を含め非常によくできている。同じ悪魔に取り憑かれるので(それにオリジナルへのオマージュもあるし)少女たちには同じようなことが起こるが、テクノロジーが進んでいるのに怖くなく、逆にアナログの時代にやってみせたオリジナルが与えた恐怖を思い出してしまう。少女がふたりになっても怖さは倍にはならず。作られる必要のなかった続編だ。

  • ロスト・フライト
    ポップコーン映画としてはかなりおすすめ
    ★★★★★

    B級アクションスリラーだが、予想した以上に楽しんだ。ジェラルド・バトラーが近年得意とするこの手の映画の中ではかなり良く出来ている。つべこべ言わずにすぐにフライトのトラブルに持っていき、その後も緊張感と恐怖を保つ。銃撃戦やファイトシーンも、とくに新しいことはやっていないものの、迫力あり。設定に都合の良さがあったり、リアリティがあるとは言えないせりふのやりとりがあったりするが、そこはご愛嬌。キャラクターの深みや層も、ここでは気にならない。バトラーが変更に大反対したという「Plane」という単純なタイトルは、この映画を象徴しているといえる。ポップコーン映画としてはかなりおすすめ。

« Prev 全776件中116~120件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク