エクソシスト 信じる者 (2023):映画短評
エクソシスト 信じる者 (2023)ライター4人の平均評価: 3
オリジナルの偉大さをあらためて思い出させる
ジェイソン・ブラムとデビッド・ゴードン・グリーンは「ハロウィン」の続編を成功させたが、「エクソシスト」は敷居が高すぎる。これは触れるべきではなかった。なにせホラーのジャンルで史上初めてオスカーに候補入りし、脚色賞を受賞した傑作なのだ。今見直しても、ドラマの部分を含め非常によくできている。同じ悪魔に取り憑かれるので(それにオリジナルへのオマージュもあるし)少女たちには同じようなことが起こるが、テクノロジーが進んでいるのに怖くなく、逆にアナログの時代にやってみせたオリジナルが与えた恐怖を思い出してしまう。少女がふたりになっても怖さは倍にはならず。作られる必要のなかった続編だ。
レジェンドを配して、ホラーの王道を行く
『ハロウィン』の続編を現代に甦らせたD・G・グリーンが、次の題材に選んだ『エクソシスト』。悪魔祓いを行なう者が聖職者ではなく、前作の“経験者”であるという点が新しい。
『ハロウィン』のJ・L・カーティスと同様にE・バースティンというレジェンドを扇の要に置くことでシリーズの筋を通し、なおかつホラーの強度を増すつくり。常識に収まらない悪魔の手ごわさが、ドラマを面白くする。
結末の、ある種の残酷さもインパクトがあり、嬉しいサプライズの要素も含めて今後のサーガ展開に期待を抱かせる。2年後には作られそうな続編が早くも楽しみ。
これ単体として観れば、ホラー映画として悪くない
キャラクターの繋がりなどで正当な続編扱いの本作だが、そこに囚われるよりも、単体のホラーとして、悪魔に取り憑かれた少女の怖さを実感した方が良さそう。ターゲットの少女が2人なので、それぞれの家族関係も含めて単純にボリューム感が2倍。少女役キャストの凄まじい演技にはシンプルに圧倒される。病院のセットなども十分に不気味さを増幅している。
いくつかのシーンで混乱を伝える意図なのか、編集に凝りすぎて、逆に何だかわからない状況になってるのは玉にキズ。
緑色の“アレ”などオマージュも広い心で楽しみつつ、現在90代に突入したエレン・バースティン(撮影時は88歳)の元気な姿を観るだけでも映画ファンには眼福である。
偉大なオリジナルには残念ながら及ばず
同じデヴィッド・ゴードン・グリーン監督の『ハロウィン』3部作と同様、2作目以降がなかったことにされている『エクソシスト』のダイレクトな続編。恐らく単体のホラー映画として見れば平均点をクリアしていると思うのだが、しかしやはり偉大なオリジナルと比較してしまうと、恐怖もショックも重厚感もだいぶスケールダウンした小粒な映画という印象は拭えない。個人的な好みとしては過去シリーズでこれがワーストかな。あと、これは『ハロウィン』3部作でも薄々気づいていたのだが、グリーン監督の演出にも脚本にもオリジナルへの愛情があまり感じられない。特にエレン・バースティンの扱いはちょっと酷いなと思った。