いままでアニメーションしか手がけてこなかった、アンドリュー・アダムソン監督がいきなりこの超大作を任され、見事にその大役を果たしました。今回はそのアンドリュー・アダムソン監督の「ナルニア国物語」との出会いから撮影に至るまでのコメントをまとめました。
■演技をする子役ではなく、物語に出てくる子供たち自身を探した
18か月間かかった子役のオーディションでアダムソン監督は、ペベンシー家の子どもを演じられる子役ではなく、物語に出てくる子どもたち自身を探したという。
「オーディションに来た子どもたちとは一緒に時間を過ごして、ペベンシー家の子供に性格など似ている部分があるかどうかをみたんだ。似ている子だったら演技をしなくても自分自身でいてくれればいいからね」とアダムソン監督は語る。
「おかげで、ルーシー役には想像力が豊かで、親身になれるジョージー、エドモンド役には好奇心旺盛でわんぱくなスキャンダーをキャスティングすることができた。スーザン役には頭が良くてキレイなアナ、ピーター役には子どもから大人の男性へと成長するウィリアムがぴったりだった」と満足げに語った。
■8歳で原作と出会う
これまでアニメーション映画の監督しか務めたことがなかったアダムソン監督が初めてメガホンを取った実写映画が『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』。実写デビュー作とし、この作品を選んだ理由をインタビューで語った。
「僕はこの物語を読んで育ったんだ。8歳の時に出会い、シリーズ7冊を全て読みきった時には終わってしまってがっくりしたくらいだ」という。
今回、映画を製作するにあたり原作を読み直そうとして初めて薄い本だったことに気がついたとアダムソン監督。「C.S.ルイスは読み手(子ども)の想像にまかせる書き方をしているんだ。長編小説ではないけれど子供が想像力を膨らませることで、ものすごいストーリーになる。その想像力で膨らんだ部分を映像にしたかったんだ」という。
■期待に応えるむずかしさと不安
世界中で昔から愛されている原作を映像化することに不安はあったとアダムソン監督はいう。「みんなの期待に応えられるか、期待を超えるものが作れるかという不安はあったよ。
僕が想像するナルニアは、他の人が想像するものとは違うかもしれないからね。でも、撮影が進むにつれ、周りの人の反応で良い作品に仕上がってきているという確信が持てたんだ」と語る。
撮影にアドバイザーとして参加したC.S.ルイスの継息子ダグラス・グレシャムも「僕の想像した通りのナルニアだ」と撮影中に涙を浮かべることがあったというくらいだから、アダムソン監督による映像化は大成功と言っていいだろう。
■ファンタジーの前に現実
ファンタジーのはずなのに映画は戦火のロンドンから始まる。原作では空襲を逃れるためにペベンシー家の子供たちが疎開したと説明されているだけだが、アダムソン監督は戦争を映像で見せる必要性を感じたという。
「ファンタジーの世界に入っていく前に、観客には現実の世界を体験させたかったんだ」と監督は語る。
また、この戦争シーンは、父親が出兵して不在のため、ピーターが長男として大人っぽく振舞わなければならないことや、そんなピーターに対しエドモンドが不満を持ち、ひねくれているなどの伏線にもなっているという。
■ピーターになりたいけど
インタビューで、ペベンシー家の子供になれるなら誰がいいかと聞かれたアダムソン監督。「かっこいい剣と盾をもらえるからピーターだよ。でも、性格からいうとエドモンドになっちゃうんだろうなぁ」とちょっと残念そうに答えた。また、タンスを通って行きたいところはどこ?との質問には「もちろんナルニアだよ。でも、未知の場所だったらどこでもいいな。新しいことを発見するというのは楽しいだろ」と言っている。
Jon
Furniss/WireImage.com / MediaVast Japan
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