ドニー・ダーコ (2001):映画短評
ドニー・ダーコ (2001)ここでもウサギが穴へと誘う
主人公ドニーの前に出現するのがウサギなのは、これもまた一種の「不思議の国のアリス」だから。ウサギは穴へと導き、ドニーは鏡を通して見つめ、洪水も起こる。ただし、彼が彷徨うのはアリスが巡った言語遊戯の森ではなく、15歳の少年が抱く/恐怖/疑惑/憤怒/欲望/の迷路。そして、これらの感情は15歳固有のものではなく、その時期に敏感に感じられた後に慣れはするが、消え去るものではないことに気づかされる。細かな伏線による作劇術も見どころ。15歳の不安定で過敏な心理に80年代のUKポップがよく似合い、後の「13の理由」「ノット・オーケー」等の思春期ドラマでの同種の楽曲の多用には、本作の影響もありそうだ。
この短評にはネタバレを含んでいます