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スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする (2002):映画短評

スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする (2002)

3月29日公開 98分

スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする
(C)2002 Spider Productions Limited /Spider Film Linited All rights reserved
平沢 薫

クローネンバーグが英国を撮るとこうなる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 レイフ・ファインズ演じる精神的に不安定な語り手を主人公に、彼が少年時代を振り返る形で、現実と妄想、現在と過去の境界線が溶解していく。と、モチーフはいつものクローネンバーグだが、原作・脚本が「グロテスク」「アサイラム/閉鎖病棟」の原作者でもある英国のゴシック小説家パトリック・マグラアのせいか、英国風味の充溢が妙味。
 撮影は、「戦慄の絆」(88)でこの監督の映像を一気に豊潤なものにして以来、最新作「マップ・トゥ・ザ・スターズ」(14)までずっと組んでいるピーター・サシスキー。濡れた石畳、似たような家の並ぶ住宅街、安宿の色褪せた壁紙のカビ臭さまで、いかにも英国的な湿った空気感に魅了される。

この短評にはネタバレを含んでいます
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