ニュースの天才 (2003):映画短評
ニュースの天才 (2003)道徳を振りかざさない、人間の深い考察
尊敬されるメジャー雑誌で、この若手ライターは、なぜでっち上げの記事を書き続けられたのか。その背景を語る今作は、キレのいいスリラーであると同時に、人間を深く考察するものだ。サービス精神旺盛な職場の人気者、だが親からのプレッシャーに悩み、恋愛関係にやや謎の部分もある。そんな主人公の人柄は、短い時間の中でも立体的に描かれていく。一方、彼が大ホラ吹きだった事実を発見していくのは、部下に愛されない編集長だ。そのジレンマを、せりふのない、表情だけの演技で表現するピーター・サースガードは、今作の最も大きな牽引力と言える。報道の倫理にまつわる話でありながら、道徳を振りかざさないところも良い。
この短評にはネタバレを含んでいます