インファナル・アフェア 無間序曲 (2003)：映画短評

前作の過去（10年前）に遡る、明らかに『ゴッドファーザーPARTII』から着想を得た前日譚。新たな黒社会組織を登場させ、キャラも倍増と、かなり大風呂敷を広げた感もあるが、そこに説得力を持たせるのがフランシス・ンら、クールで芸達者なキャスト。さらに、香港映画独特の熱量がみなぎるなか、「あの曲」「あのクセ」「あの繋がり」と、前作のファン心理もくすぐる展開も用意されるなど、前作から10ヶ月弱で公開されたと思えぬほど、その完成度の高さに圧倒される。そして、香港返還の瞬間を捉えた心震わすラストシーン。ウォン警部役のアンソニー・ウォンが台湾国籍を取得しようとしている今、さらに感慨深いものに見えてくる。