ゾディアック (2007):映画短評
ゾディアック (2007)
デヴィッド・フィンチャーの夜の美学が極まる
デヴィッド・フィンチャー監督が思い描いた通りの"夜の気配"を味わう映画。彼が初のデジタル撮影の映像を加工し尽くして表現した夜の大気の質感は、暗いのにクリア。すべての色調が、夜の砂地から遠くに見える電灯まで、きっちりフィンチャー好みの色に調整されている。そんなさまざまな夜が、何かが起こる夜が来るたびに、まず画面に登場するのだ。撮影のハリス・サヴィデスはガス・ヴァン・サント監督の「GERRY ジェリー」「エレファント」を撮った人物でもある。
2020年の今見ると、事件に溺れていく男たちの配役も美味。ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニー・Jr、マーク・ラファロが三者三様の闇に埋没していく。
この短評にはネタバレを含んでいます