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愛のコリーダ (1976):映画短評

愛のコリーダ (1976)

1976年10月16日公開 108分

愛のコリーダ
(C) 大島渚プロダクション

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

斉藤 博昭

“本番”やらせた衝撃より、テーマを最後まで貫く潔さに感銘

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

フィックスのカメラで収める濃厚な絡みなど、やってることは過激だけど、監督の視線は徹底して冷静。人間の本能としての性の歓びを追求した、一種の観察記を観ている感覚。ラブストーリーでもあるけれど、それ以上に、ひたすら「やりたい」という、ただそれだけの映画だが、余計なドラマに逸れることは一切なく、今こうした映画を撮るのは不可能だと痛烈に感じる。そのまっすぐさが、作品にピュアな誠実さを与え、大島監督の裁判での「わいせつ、なぜ悪い」という名言も時を超えて心に響く。
題材が男性の局部をチョン切った阿部定事件なので、つねに痛みの予感が漂い、緊張の糸もとぎれない。過剰な色づかいの誘惑も、デジタル修復ならでは。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

4K修復版で堪能する大らかなセックスの世界

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ご存知、日本映画初の本番セックスで世界中に衝撃を与え、クインシー・ジョーンズ(オリジナルはチャズ・ジャンケルだけどね)の大ヒット曲のタイトルにもなった大島渚監督の名作。お話は阿倍定事件。残念(?)ながらぼかし修正は相変わらずなのだが、しかし色彩の鮮烈さや滑らかな映像は4K修復版の威力であろう。久しぶりに改めて見直すと、確かに結末は陰惨かもしれないが、しかしまるで恋愛やセックスを覚えたての10代カップルのような、2人だけの世界に溺れ切った男女の愛の営みがなんとも微笑ましく、彼らを取り巻く人々の性に対する大らかさにも感心する。「まあ旦那、ずいぶん威勢がよござんすね」のお婆ちゃん芸者なんか最高!

この短評にはネタバレを含んでいます
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