サウスポー (2015):映画短評
サウスポー (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
最強俳優(現時点で)ジェイク・ギレンホール
デ・ニーロ、スタローンに安藤サクラ!
ボクシング映画は、役者が本来持っているドM心に火を付け、そして観客はそのドMの末に完成された躍動する肉体を堪能するという醍醐味がある。
ハッキリ言って話の展開は大体同じ。本作も、孤児が拳でのし上がるも、不幸があって一度どん底に突き落とされてから再起を図るというパターン。そうと分かっていながらも、観客を映画に引き込ませるのがギレンホールの肉体であり、ド迫力のファイトシーン。人間の本気は、定番を覆すパワーがある。
それにしても『複製された男』とか『ナイトクローラー』とか、ギレンホールの作品選びはおもろい。そういう意味も含めて、今のハリウッドで最強。
失ったものを拳で取り戻すボクサーの葛藤が心に響く。
主人公ビリーを演じるジェイク・ギレンホールのマッチョなボディメイキングが話題だが、それよりも表情演技に目が釘付けになる。自信満々で切れやすい序盤と愛妻や娘を失い自暴自棄になる中盤、そして再生にむかう後半と瞳の輝きや態度を微妙に変化させ、ビリーの心の機微や人間としての成長を見事に表現している。さすが演技巧者! 父親と離されてしまう愛娘やワケありトレーナー、ビリーが過去の自分を重ねる貧しい少年など脇キャラもバランス良好。またアントワン・フュークワ監督らしく、血と汗が飛び散るハードなボクシング場面のカメラワークは手に汗握り、胸躍る。先は読める展開だが、ボクシング映画のパンチ力恐るべし!