キリングゲーム (2013):映画短評
キリングゲーム (2013)ライター2人の平均評価: 3.5
史実に誤解を招きかねない点は要注意
戦場の地獄を忘れたい男と忘れられない男の一騎打ちを通じ、実戦を経験した兵士たちの深い心の傷と闇を浮き彫りにする。トラヴォルタ扮するセルビア人が何故そこまでデ・ニーロ扮するアメリカ人との直接対決にこだわるのか。その辺は今ひとつ説得力に欠けるが、老体に鞭打つ名優2人の熱演がそんなモヤモヤ感をチャラにしてくれる。
ただし、歴史的背景が必ずしも正確とは言えない点は要注意。そもそもボスニア紛争は内戦だが、本作はあたかもセルビアによる侵略戦争だったかのように描いており、アメリカとNATOの軍事介入を正当化しているように思える。そのせいで戦争の不毛を訴える主題が言い訳のように聞こえてしまうのは残念だ。
大自然という名の密室極限アクション
デ・ニーロ×トラヴォルタの初共演ながら大作感ゼロの作風が凄すぎ! ボスニア紛争でトラウマを負った元・米軍人とセルビア人兵士が、アパラチア山脈の大自然を「広大な密室」に見立て1対1のガチバトル。かつてアンドレ・カイヤット監督が砂漠を舞台に白人VSアラブ人の極限闘争を描いた超名作『眼には眼を』(57年・仏)を彷彿とさせる(実際意識していると思う)ハードコア・アクションだ。
しかも『マラヴィータ』では『グッドフェローズ』、『リベンジ・マッチ』(4月公開)では『レイジング・ブル』など“自分ネタ”を嬉々として扱う老境サービス期に突入したデ・ニーロが、本作では『ディア・ハンター』をやってることにも注目!