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カサンドラ・クロス:映画短評

カサンドラ・クロス

カサンドラ・クロス
なかざわひでゆき

国家や思想の大義名分が人命を軽んじる恐怖を描く感染パニック

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 相次ぐ極左テロ事件が世界を震撼させ、冷戦下における東西陣営の対立が社会不安を煽った’70年代の暗い世相を背景に、大陸横断鉄道の客車に拡がるウィルス感染パニックと、それを闇に葬り去ろうとする大国の非情な論理をホロコーストと重ね合わせつつ、身勝手な大義名分のもとに人命が軽んじられることの恐怖を描く。バート・ランカスターにソフィア・ローレン、エヴァ・ガードナーなど錚々たる国際的キャストの顔ぶれだけでも見応えあり。画面の隅々まで馴染みのある顔ばかりで、戦中世代のスターたちがまだ存命で現役だった当時の層の厚さを感じる。こういう映画はもう作れない。(スターチャンネル2にて4/24放送)

この短評にはネタバレを含んでいます
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