カサンドラ・クロス:映画短評
カサンドラ・クロス国家や思想の大義名分が人命を軽んじる恐怖を描く感染パニック
相次ぐ極左テロ事件が世界を震撼させ、冷戦下における東西陣営の対立が社会不安を煽った’70年代の暗い世相を背景に、大陸横断鉄道の客車に拡がるウィルス感染パニックと、それを闇に葬り去ろうとする大国の非情な論理をホロコーストと重ね合わせつつ、身勝手な大義名分のもとに人命が軽んじられることの恐怖を描く。バート・ランカスターにソフィア・ローレン、エヴァ・ガードナーなど錚々たる国際的キャストの顔ぶれだけでも見応えあり。画面の隅々まで馴染みのある顔ばかりで、戦中世代のスターたちがまだ存命で現役だった当時の層の厚さを感じる。こういう映画はもう作れない。(スターチャンネル2にて4/24放送)
この短評にはネタバレを含んでいます