パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海 (2013):映画短評
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海 (2013)ライター2人の平均評価: 3.5
前作以上にバラエティ豊かなアトラクション感覚が楽しい
ギリシャ神話版ハリー・ポッターとも呼ぶべきシリーズの第2弾。冒険の旅を通じて仲間との絆を深め、神と人との間に生まれたハーフゴッドとして自らの能力と役割に目覚めていくパーシーの姿を描く今回は、より一層のことハリポタ色が強くなったと言えるだろう。
とはいえ、あくまでもアクション満載のライトタッチな賑やかさが本シリーズの持ち味。世界を救うため“黄金の羊毛”を探す旅に出るなんて「アルゴ探検隊の大冒険」そのまんまだが、奇想天外でユニークなモンスターが次々と飛び出すアトラクション感覚は前作以上にバラエティ豊かで楽しい。伝令の神ヘルメスが現世で宅配便会社を経営していたりするユーモアも茶目っ気たっぷりだ。
ひとまず、ファミリー向けのファンタジー・アドベンチャーとしてはよく出来た作品。パーシー役を演じるローガン・ラーマンの朴訥とした個性も好印象だ。ただし、オヤジにかまってもらえないというだけの理由で、世界を破滅の危機にさらすルークの無茶な逆恨みには、思わずツッコミの一つでも入れたくなってしまうのだが(笑)。
前作よりテンポよく、作風は「ハリー・ポッター」化が顕著
第1作はオリンポスの神々の痴話げんかの背景説明などがまどろっこしかったが、今作は冒頭から戦闘開始でテンポもよく冒険ファンタジーとして単純に楽しめた。
前作の監督クリス・コロンバスは今回は製作総指揮として参加しているが、ギリシャ神話色は薄れて「ハリー・ポッター」化が目立つ。原作は未読だが、半神半獣が集うハーフ訓練所はホグワーツ魔法学校だし、予言やらガジェットやら謎解き絡みの冒険談に強敵クロノスの復活はヴォルデモートのごとく。
ただし、全般的にノリは軽い。自らの資質に悩めるジャクソンも割とさっさと運命を受け入れ、その上で道は自分の手で切り開くもの!と前向き。主演のローガン・ラーマン(11月22日公開の主演作『ウォールフラワー』は必見)の、どこかのんきで陽性のキャラは癒し系で、これはこれで魅力がある。
映画ファンには不評の吹替版のタレント起用に関しては、ヒロイン役の渡辺麻友はそつなくこなしている。ナメてるのか!?と思ったゆるキャラふなっしーは、出番は少ないが筆者は不覚にも笑ってしまった。主役続投の宮野真守はプロかつハマリ役なので、2Dで十分の内容だが3D吹替版もありかと思う。