ホビット 竜に奪われた王国 (2013):映画短評
ホビット 竜に奪われた王国 (2013)ライター2人の平均評価: 4
欲望が渦巻き始め『指輪物語』の匂いが立ち込めてきた
あまりにもスピンオフ感が強かった前作に比して、『ロード・オブ・ザ・リング』の匂いが立ち込めてきた。「欲望」が渦巻き始め、心の闇が全編を覆い始めるからだ。
巨大蜘蛛との激しい攻防と、邪竜スマウグとの腹の探り合いが、さらなる緊張感を与える。邪竜をパフォーマンス・キャプチャーと吹替えによって体現したベネディクト・カンバーバッチが、マーティン・フリーマン扮するビルボと対峙する場面は本作の白眉だ。
前作から導入された映像HFR(ハイ・フレーム・レート)の生々しい画質は、新たな“コク”を表現しつつある。しかし人物やキャメラが素早く動くとき、未だ異様な軽さを感じさせてしまう瞬間は残存する。
“指輪”への道が見えてきた!
『ロード・オブ・ザ・リング』三部作から続く安定のハイクオリティを維持。ファンの期待を決して裏切らない。
エルフ族の登場で戦闘シーンがより盛り上がるばかりか、冒険者たちの凛々しさも前作以上に強化された感あり。オークとの合戦シーンが、『ロード~』以上にフィジカルに見える点には映像面での進化が見て取れる。
何より、前作で主人公ビルボが手にした、あの指輪により、彼の顔つきが時折邪悪に見えることにゾクゾクしてしまう。『ロード~』とのリンクが明確になってきたという意味でも必見。早く“次”を観たい。