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私が愛した大統領 (2012):映画短評

私が愛した大統領 (2012)

2013年9月13日公開 94分

私が愛した大統領
(C) 2012 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
なかざわひでゆき

秘めたる情事と呼ぶには生々しいお話

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アメリカ国民に最も愛された大統領フランクリン・ルーズベルトの秘めたる情事を描く…なんていうと、奥ゆかしくも格調高き大人のラブロマンスみたいだが、ところがどっこい、これがなんとも生々しいお話だった。

 そもそも、本作に登場するルーズベルト大統領は結構な食わせもの。イメージのために下半身不随の事実をひた隠し、特ダネを餌にマスメディアの情報を操作し、歴代の秘書や女性スタッフを食い放題。そんな愛人の一人が、本作の元ネタである日記の著者でヒロインのデイジーだ。たびたび美談として語られることの多いエレノア夫人との関係も、ここでは夫婦というよりも同志。お互いの野心のために結託し、相手の欠点には目をつぶる。だいたい、大統領の役目とは国民の利益を守り国家を発展させること。そのためなら多少の嘘も方便だし、息抜きの浮気だって必要悪。実際の記録をもとにしているだけに、そんな政治家の人間臭さがリアルに描かれる。

 ただ、そうした歴史の裏話的な興味に終始してしまったため、映画作品としては散漫になりがち。古き良きアメリカを再現した映像はとても美しいが、人間ドラマとしては今ひとつ掘り下げ不足だった。

この短評にはネタバレを含んでいます
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