愛さえあれば (2012):映画短評
愛さえあれば (2012)人生を豊かにするのも惨めにするのも考え方次第
「未来を生きる君たちへ」でアカデミー外国語映画賞に輝くデンマークの女流監督スサンネ・ピアの手がけたラブロマンス。主人公は乳がんを患った上に長年連れ添った夫の浮気まで発覚したお人好しの中年主婦イーダと、事故死した妻を忘れられず仕事に没頭する堅物男フィリップ。この一見すると水と油みたいな2人が、子供たちの結婚式に参加するため訪れた南イタリアでお互いに惹かれ合っていく。そのタイトルも含めて陳腐な恋愛映画のように思える作品だが、ところがどっこい、人生の理不尽や人間の身勝手さなどを鋭い風刺を込めてさらけ出しながら、それでもなお人を信じ愛することの意味と素晴らしさを語る。人生を豊かにするのも惨めにするのも考え方次第。実に気持ちのいい作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます