オーバードライヴ (2013):映画短評
オーバードライヴ (2013)マッチョを封印したD・ジョンソンの社会派アクション
アメリカでは麻薬犯罪で逮捕された場合、仲間を密告すれば量刑を減らしてもらえるという。なので、中には無実の他人を罠にはめるヤツもいるわけだ。例えば本作の主人公の息子のように、麻薬密売で逮捕された友達が勝手に送りつけてきた薬物入りの荷物を受け取ってしまい、仲間に仕立てあげられて逮捕されるというケースもあり得る。その結果、ハメた奴が軽い罪で済み、ハメられた人間が重罪に問われるという理不尽が起きるわけだ。
しかも、麻薬犯罪に厳しい姿勢で臨む司法は情状酌量を一切認めず。そこで、父親は自らが密売組織のしっぽを掴み、ボスの逮捕に協力することと引き換えに息子の減刑を取り付けようとする。犯罪とは無関係の平凡な父親がいかにして組織へ接触し、決して表に姿を見せない大物ボスをどう捕らえるのかが本作の焦点と言えよう。
なので、主演のドウェイン・ジョンソンはいつものマッチョヒーローを完全封印し、愛する息子のため命をかける父親を大熱演。実は元特殊部隊のスナイパーでして…なんて言い出すんじゃねえの!?との心配もご無用(笑)。意外にも社会派目線の真面目なアクションで、荒唐無稽を最小限に抑えた姿勢も好印象だ。