イノセント・ガーデン (2013):映画短評
イノセント・ガーデン (2013)寸分の隙もないくらい耽美的な映像
韓国の鬼才パク・チャヌクのアメリカ映画デビュー作。父を亡くした少女インディアと謎めいた叔父チャーリーの奇妙な関係を軸に、思春期の自我の目覚めを美しくもミステリアスな世界の中に描く。復讐、怨念、倒錯、狂気、贖罪…と、並ぶのはパク監督ならではのキーワード。まるで彼のために用意された企画のようだ。寸分の隙もないくらい耽美的な映像は、これまで以上に緻密で繊細。思わずため息が漏れるほど美しい。少女特有の危うさと残酷さを体現したミア・ワシコウスカの演技も見事。ただ、従来のパク作品は韓国社会の因習や不条理に対する彼の強い憤りが底知れぬパワーとなっていたのに対し、そうした民族的背景のない本作は若干スタイルに偏ってしまった印象を受けるのが惜しまれる。
この短評にはネタバレを含んでいます