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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 (2013):映画短評

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 (2013)

2013年10月26日公開 116分

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語
(C) Magica Quartet / Aniplex・Madoka Movie Project Rebellion
清水 節

嘘で塗り固められた「今」を看破する危険な寓話

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 物語自体は閉ざされたセカイで進むが、仮初めの平和の綻びから世界の秘密を盗み見ようとする野心に満ちている。目には見えない宇宙の摂理。歴史は女で作られる。
 
 いつか見た、虚構の世代の終わらない学校的日常。祝祭空間にひたひたと押し寄せる不安。やがて悪意は強大になり、螺旋を描きながら破局へと向かう。狂ったようなヴィジュアルの快楽に浸る前半。煌びやかな街で繰り返されるイマジネーション豊かな光景は、TVシリーズがオンエアされていた3.11後の灯が消えた頃の日常とは対照的で、まるで嘘八百で塗り固められた今現在の、幸せ芝居のよう。
 
 前作で世界は創り変えられたはずだった。ヒロインを犠牲にして。脚本家・虚淵玄は、時を超越したキュゥべえの存在そのものだ。真摯に真実を語るようでいてミスリードしながら観る者の脳を攪乱し、やはり、秩序よりも欲望が勝ってしまう人間の業に肉薄する。TVシリーズの続きというよりは、あの結末を盲信したままではいけないと裏書きし、世界の成り立ちを補完する役割を担う。梶浦由記によるEDテーマ「君の銀の庭」の詞は、膨大なセリフに翻弄される本作の謎を解明するための、最良のガイドだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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