クローズEXPLODE (2013):映画短評
クローズEXPLODE (2013)ライター2人の平均評価: 4
男優はヤンキー映画で覚醒する
伸びやかな肢体から放たれるパンチや蹴りがこれほど様になるとは嬉しい誤算だ。東出昌大が内に秘めていたであろう情熱やら鬱憤を爆発させ、全身全霊で演じた本作。正直、「ごちそうさん」の悠太郎より100倍魅力的だ。
ほか、柳楽優弥に早乙女太一、永山絢斗と実生活でちょっとゴタゴタとあった男優を集めて「ここで男になれや」と言わんばかりにやる気を炊きつけた製作側の策略が効いている。そもそも豊田利晃監督からして闘争心剥き出し。まさかクライマックスで、『クローズZEROⅡ』と同じ設定を用意するとは。ケンカ上等の覚悟と意地が、前シリーズに劣らぬ青春映画の傑作を生み出した。
豊田利晃、奇跡の復活!
ここ10年近く、個人的にはまったく受け付けない作品が続いた豊田利晃だが、これは水を得た魚の勢い。三池崇史版ではあえて避けていたのであろう、メインキャラの過去の傷、トラウマにまで踏みこむ向井康介、水島力也(=山本又一朗)らの脚本も、青臭いまでの情念の果てに虚無が拡がっていたかつての豊田作品を思わせ、これはこれで正解。真っ直ぐな風のように疾る東出昌大、軽くてチャラい勝地涼、重戦車のような柳楽優弥…と、決して少なくはない登場人物ごとにキャラクターに合ったアクション振付を施した、三池映画常連のスタント・コーディネイター辻井啓伺の仕事ぶりも素晴らしい。そう、これでいいのだ。突っ走れ豊田!