あの頃、君を追いかけた (2011):映画短評
あの頃、君を追いかけた (2011)ラストに投下される最強の“催涙弾”
これまで、どこか気取ったアート系のイメージが強かった台湾産青春映画だが、そのテイストをしっかり残しながら、次々と下ネタをブッコんでくる。作り手はもちろん、演者もパンツを脱いで作った青春映画だからこそ、共感できて笑える。とはいえ、主人公たちの性の対象と“ほかの女子より少し可愛いだけの”ヒロインの存在は別モノ。だからこそ、切なくて泣けてくる。
確かに、主要キャラの描き方の甘さやムダに長い格闘技大会など、ツッコミどころは多い。だが、それらをすべて帳消しにしまうほど、ラストに投下される“催涙弾”の威力は最強である。
この2年、台湾・香港・中国で30回以上観続け、今ではパブロフの犬ばりに、主題歌のイントロが流れるだけで泣けてしまう体質になりながら、また「あの7人」に会える嬉しさ。そして、お礼参りされる教官やワキ毛ボーボーのルームメイトなど、小ネタを発見する悦び。どちらの要素も持つ意味で、『猟奇的な彼女』以来、恐ろしいまでに中毒性を持ったラブストーリーといえるだろう。