標的の村 (2013):映画短評
標的の村 (2013)権力の横暴を次々ぶった斬る!これぞジャーナリスト魂
戸塚ヨットスクール事件のその後を追った東海テレビの『平成ジレンマ』、米国の水爆実験の実像を暴いた南海放送『X年後』に続く、地元局発の傑作ドキュメンタリーの誕生だ。沖縄の基地問題を題材にしたドキュメンタリーはこれまでにもあったが、政府や米軍が住民に対していかに数々の嘘と方便、そして権力をかざして住民の声を封じ込めて来たかを鮮やかなまでに実証していく。
いかに本作が権力側の不都合な部分を描いているかは、映画公開を巡っての那覇地裁&福岡高裁の対応で明らか。オスプレイ着陸帯建設に抗議の座り込みをした高江住民は「通行妨害」として国に訴えられたのだが、その顛末を追った裁判所敷地内の取材映像を使用するな!と圧力をかけてきたらしい。これは沖縄県民の闘いだけでなく、琉球朝日放送というジャーナリスト集団の威信を掛けた闘いの記録でもあるのだ。地元局をナメんな!その叫びをしかと受け止めた。
この短評にはネタバレを含んでいます