醒めながら見る夢 (2014):映画短評
醒めながら見る夢 (2014)ライター2人の平均評価: 1.5
僕、京都人やからね。キッツいわぁ。
相性の合わないクリエイターというのはどうしても存在するもので、僕にとってそのひとりが辻仁成。そんな彼の新作をなぜまた観るのかというと高梨臨と石橋杏奈が出ているから、というに尽きる。確かにこの二人は悪くない。京都弁もとても自然だ。ことに高梨の身体表現能力の高さは目を惹きつける。しかしなぜ主役の堂珍嘉邦が標準語なの?怠慢ではないか。由緒ある店にはまったく見えない高橋ひとみのサロンやら、お題目ばかりでエロさも哲学性も感じない緊縛塾やら、単なるポールダンスとしか思えない堂珍の演劇やら、眩暈を起こさせる要素なら山ほどあるが、正直言って、高林陽一のある種の作品群(のこそばゆさ)を想起させたのも確か。
作り手のナルシズム全開に思わず赤面
なんだろう、この見ているだけで赤面してしまう小っ恥ずかしさは(笑)。京都を舞台に芸術家やら女優やら高級サロンの娘やらの“愛”が交錯する物語は、一見すると端正な文芸調だ。
とはいえ、今時ありえないほど臭いセリフの数々に失笑。なによりも、まるで’80年代の某宝飾店や某ブティックのCMを彷彿とさせる演出の、時代錯誤なスタイリッシュ感ときたら…。真夜中に石畳の上で男性ダンサーが独りで踊り狂う意味不明なシーンにゃ目眩がいたしましたよ。
まさに作り手のナルシズム大噴出。そういう意味では珍妙テイストなのだが、“怪作”と呼べるほど独創的でもないし狂ってもいない。ただ、高梨臨や石橋杏奈ら女優陣は健闘。