ドラッグ・ウォー 毒戦 (2012):映画短評
ドラッグ・ウォー 毒戦 (2012)ライター2人の平均評価: 5
ジョニー・トーの勢いは止まらない
お馴染みの俳優で黒社会を描き続けるジョニー・トー監督。ネタが尽きないどころか俺節にさらに磨きがかかり、規制の厳しい中国ロケも何のその。巨大麻薬組織VS.中国公安という、゛覚せい剤村゛が摘発されたばかりの中国の洒落にならない暗部をいじくりまくる。
怒涛のアクションと全く先の読めない展開で゛手に汗握る興奮゛とは、この映画のためにあるのでは?と思うほど。侵入捜査チームを率いるスン・ホンレイの怪演に導かれ、あなたも毒戦の目撃者となれ。
規制厳しい中国大陸だろうが、トー汁全力120%
香港の夜を、印象的なスポットライトで照らし続けたジョニー・トー監督が、検閲の厳しい中国大陸で初のアクションに挑んだ。だが、目の前に映る風景が変わっても120%トー汁全開。
ただ、コンビを組んで潜入捜査をする容疑者と刑事には、これまでのトー作品のような“ある種の友情”は生まれず、常に緊張感が張りつめているのが特徴。昨年末、広東省でコカイン製造工場が摘発されたが、本作はそのドキュメントを見ているような感覚だ。
そして、『デッドポイント』を思い出す衝撃すぎるラスト。不眠不休で任務に徹してきた刑事にトー監督が与える試練は、検閲で苦しめてきた中国政府への反発にも見え、逆に爽快だ。