ロボコップ (2014):映画短評
ロボコップ (2014)ライター3人の平均評価: 4.3
半分人間半分機械、これはまさに今のハリウッド映画の姿
遅ればせながら鑑賞したらかなりの傑作。穿った見方だが、筆者には米国批評並びに「映画論」そのものの作品に思えた。
87年のヴァーホーヴェン版はコミック的な虚構に徹した面白さだったが、新作はドキュメンタリー出身の監督を起用し、ロボコップが「人間」と「機械」の間を生々しく揺れ動く。この葛藤と模索は現在の映画をめぐる問いと同じではないか。実写とCGの境界が溶解する中で、新たなバランスを探り、高次元のフィクションとして生まれたのが例えば『ゼロ・グラビティ』のような映画だ。
頭部と肺機能だけでぎりぎり「人間」足りえているロボコップ。これはまるで今のハリウッド大作の映画組成を形象化したシンボルのようだ。
劇画を避け、リアルに徹した“ロボ警察24時”
ポール・ヴァーホーヴェンによるオリジナル版のファンとしては正直不安もあったが、このリメイクは予想以上の出来。オリジナルのよう劇画タッチとは逆に、ハードボイルドに徹してハードルを越えた。
ジョゼ・パヂーリャ監督は代表作『エリート・スクワッド』そのままのハンディカム撮影で、リアリズムに徹してドラマを語る。おかげでヒーロー活劇ではなく、“警察24時”的なドキュメンタリーを見ているような生々しさを覚える。
ロボコップに最初から人間の頃の記憶があるという、オリジナルとは異なる設定も活きていて、ドラマ面でも驚きがある。ガッカリさせられるリメイク作品は少なくないが、これは大歓迎!
重厚なドラマで魅せる見事なリメイク
ヴァイオレンス満載なオリジナル好きにはモノ足りなく感じるだろうが、このリメイクは見事。義肢にも通じる医療開発のその先として、コピー通り「半分人間、半分ロボット」となった男の悲劇がドラマティックに描かれる。オリジナルでは皆無だった夫や父としての葛藤もあり、絶賛売出し中のジョエル・キナマンの顔出しも多し。
『第9地区』を意識したオープニングも用意されるなか、やっぱり高まるテーマ曲やED-209をあえて同サイズで登場させるなど、オリジナルへのリスペクトも忘れない。アニメやゲーム版など、27年間のロボコップ史のいいどこ取りといえるだろう。