ウィークエンドはパリで (2013):映画短評
ウィークエンドはパリで (2013)人生の週末にマディソン・ダンスを踊る。
好きだから引用しました程度のモノじゃなく、ここまでさまざまな背景を想像させるオマージュとなると、もう感服するしかない。パリにやってきても始終喧嘩と仲直りを繰り返す偏屈夫と不満妻が、突然一緒にホテルのレストランを走り抜けた瞬間、’60~’70年代の彼らの青春とは、すなわちあの映画の気分だったのだと直感させる。果たして、TV画面に映るのはあのダンス・シーン、それをラストで夫妻と旧友がそのままカフェで再現する、この幸福感と寂しさ虚しさ。意欲的で冒険心に満ちたあの時代の夢はもう戻らない。それを痛感し、夫婦や親子の関係について見つめ直した彼らの週末旅行はゴダールの『はなればなれに』とともに終わるのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます