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味園ユニバース (2015):映画短評

味園ユニバース (2015)

2015年2月14日公開 103分

味園ユニバース
(C) 2015 『味園ユニバース』製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

ミルクマン斉藤

渋谷すばるのソウルと大阪サブカルの幸福な出会い。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

とにかく渋谷すばるなのだ。記憶をなくす前のアウトローな目。失ってからの所在の無い、しかし純真さを湛えた目。そして甦ってからのアイデンティティを見失った目。それらのスイッチの切り替わりが、しっかり渋谷の表情だけで理解できる。山下映画に欠かせぬ、ふたり並んでの長回し…二階堂ふみ(瑕瑾はあるが関西弁ネイティヴが聴いても違和感なし)と座敷の上り口で西瓜の種を飛ばし合うシーン、そして公園で二階堂の嫌いなトマト入りのバーガーを取り替えてやるシーンに漏れ出る優しさ(恋愛とは異なる、もっとドライな)も素晴らしい。大阪が誇る歌謡ファンクバンド・赤犬との相性もぴったり、ラストの渋谷の「貌」に明日が見える。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

渋谷すばるという逸材を初めて知った自分を猛反省!?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

『リンダ、リンダ、リンダ』偏愛女としては山下敦弘監督の音楽映画という期待が裏切られるはずはないと思っていたが、ちっぽけな期待の遥か上かに超す完成度の高さに大興奮。音楽を軸にワケあり男女が心を通わせるという物語はありがちかもしれないが、とにかく主演の渋谷すばるが素晴らしい。歌唱力はもちろん、アイドルとは思えない太々しい存在感と「俺、かっこいいだろう」感ゼロの演技力はまさに逸材。今まで彼を知らなかった自分を猛反省しました。そして熊切和嘉監督の作品でもお馴染みのバンド「赤犬」が本人(?)として登場するのもうれしい喜び。トレンドとは無関係に“好き”を追求する姿勢を貫くメンバーの顔が見えたね。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

渋谷すばるの圧倒的な存在感!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の安田章大に続き、日本映画界は『エイトレンジャー』では分からなかった、とんでもない逸材を目にした! あまりにまっすぐすぎて、危なっかしい。そんな圧倒的な存在感を放つ渋谷すばるに対し、珍しく「受け」の芝居で確実に成長した演技を魅せる二階堂ふみ。ほかにも、久しぶりに女優としての顔を魅せる鈴木紗理奈に、決してお飾りになってない赤犬メンバーなど、とにかく役者のエネルギーと(大阪という)ストリートの空気を感じさせれくれる。これは『百円の恋』にも通じるともいえるが、ストーリー展開も同様で、あまりにストレートすぎて、再起の物語に終わっているのが悔やまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

大阪の大衆文化への愛情が評価の分かれ目かも

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 恐らく、観客個人のバックグランドによって大きく評価や印象の分かれる作品かもしれない。というのも、本作は題名にもなった味園ユニバースに象徴される大阪の大衆文化や、インディーズ音楽シーンへの愛情が根幹を成しているからだ。
 ワケありな過去を持つ男が記憶喪失によって人生をリセットする。よくある話だが、そこは渋谷すばるが意外にもアイドルらしからぬ枯れた味わいで物語に血肉を通わせる。年齢を重ねていい面構えになった。演技的にはまだ伸び代ありだが、これを機に映画に本腰を据えても良いと思う。
 全編に散りばめられた音楽も魅力的。ただ、大阪文化に馴染みのない筆者には、それ以上の面白さは感じられなかった。

この短評にはネタバレを含んでいます
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